ドローン特区について

1  ドローンと国家戦略特別区域(特区)

ドローンの利活用が地方創生に役立つことがあり、先日の記事でも紹介したとおり、ドローンに関連して、地方公共団体から国家戦略特別区域法に基づく特区申請がなされる例もあります。

特区については以下の官邸のHPが詳しいです。

http://www.kantei.go.jp/jp/headline/kokkasenryaku_tokku2013.html#q09

http://www.kantei.go.jp/jp/singi/tiiki/kokusentoc/

 

2  千葉市の動きの整理

ドローンに関しては千葉市が特区として指定されています。以下、千葉市の特区指定後の動きについて主要な点を整理してみました。

2016年1月29日:  千葉市が国家戦略特区として指定される。

2016年3月24日:  千葉市ドローン宅配等分科会(分科会)の設置が承認される。

2018年3月13日:  「地域限定型規制のサンドボックス制度」を創設するための「国家戦略特別区域法の一部を改正する法律案」が国会に提出される

2018年3月19日:  「ドローン実証ワンストップセンター」が「特別区域計画」に認定される。

千葉市が公表している資料によると、千葉市は、特区申請の目的として以下の宅配の実証実験を挙げていました。

①幕張新都心に近接する東京湾臨海部の物流倉庫から、ドローンにより、海上(約10km)や花見川(1級河川)の上空を飛行し、新都心内の集積所まで荷物を運んだ上、住宅地内のマンション各戸への宅配(水平的取組)

②地区内の店舗から、ドローンにより、高層マンションの各戸へ薬品等生活必需品の宅配(垂直的取組)

上記の実証実験をする場合、進入表面等の飛行、150m以上の空域の飛行、人口集中区域での飛行、目視外飛行等を行う必要があり、これらを制限する航空法(132条や132条の2)の規制をクリアする必要があります。また、これだけの大がかりな飛行を行うためには、産業用ドローン専用の周波数帯域の確保が必要で、電波法上、無線局開設の免許が必要になってきます。

千葉市は特区として認定され、申請対象となっている、宅配の実証実験の内容を検証するための有識者による分化会が開設されました。その技術検討会は現在まで8回開催されており、東京湾を飛行するテストも実施され、「ロードマップ」レベル4(有人地帯での目視外飛行)も見据えた議論をしています。

そして、分化会や技術検討会の検討内容を踏まえて、上記航空法や電波法の規制緩和を実現するために、以前の記事で紹介した、地域限定型規制のサンドボックス制度の創設(特区法の改正)が予定されている(現時点では未成立)という整理になるように思います。

ドローン実証ワンストップセンターは、千葉市が、千葉市内でドローンの実証実験を行おうとする事業者に対して、実証実験の実施に係る相談、関係機関等との調整、地域への周知等を行うことが想定されています。現時点で公表されている利活用例は多くありません。分科会が更に進めていく実証実験において、河川・道路・第三者上空等の飛行を行う場合には、関係各所との調整には相応の手間と時間を要するように思います。前述の東京湾でのテストにおいてもこの点は大変だったようです。センターが、この点についてサポートしていくのかなと推測します。

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