AutelのDJIに対する提訴

2018年9月1日付のBloomberg及び2018年9月5日付時事通信の記事によれば、米国のドローンメーカーAutel Roboticsが、DJIを相手に、米国国際貿易委員会(United States International Trade Commission)に対して、特許侵害を理由に、調査要請、DJI製品の米国への輸入、販売禁止を求めて提訴したとのことです。

USITCのHPを見ると、訴えは2018年8月30日に受理されています。事件番号(Docket Number)は3335です。Autelの訴訟代理人には、通商問題に強い米国の大手法律事務所であるSteptoe & Johnson LLPが就任しています。

DJIのPhantomと、AutelのX-Starはよく似ているところがあります。同種製品でいえば、Autel製品の方が、DJI製品よりも安価です。

DJIは、創業当初から基本技術の特許登録を積極的に行い、ライバルとの競争を有利に進めてきたとも言われていましたが、今回、USITCを舞台にディフェンスを強いられることになりそうです。

DJIとAutelは、米国の連邦裁判所にて、複数の特許訴訟合戦を繰り広げています。DJIはシアトルの裁判所でAutelを提訴している記録がありますし、AutelはDJIをニューヨークの裁判所で提訴していたようです。前者の訴状には、DJIの元従業員がAutelに移籍し、DJIの技術を不当に用いたといった主張もあります。ところが、Bloombergによれば、裁判所での審理はあまり進んでいなかったようです。勝敗が微妙な争いなのかもしれません。

今回の紛争において、Autelは、障害物回避の際の飛行技術、ローターアセンブリ、バッテリーパックの切替方法に関する特許侵害を主張しているようです。

連邦裁判所は、特許侵害があっても、輸入・販売の禁止命令を出すことには慎重なのに対し、特許侵害等不公正取引の取締を機能とするUSITCは、特許侵害が認められれば、輸入・販売禁止命令を出す可能性もあると論じられています。

時事通信によれば、香港の日刊紙は、米中貿易摩擦が激しさを増す中、同じ深センに本拠を持つZTEやファーウェイに続き、DJIが新たなターゲットとなり、米国政府が、中国政府が推進するハイテク産業振興戦略(中国戦略2025)への打撃を狙ったものだと主張しているようです。

DJIの新作や、今後の産業発展への貢献を楽しみにしている者にとっては、DJIに頑張って欲しいですが、政治的背景もあることから、今後の進捗が気になるところです。

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