埼玉県秩父市のドローン物流検証実験に関する検討~送電線地役権等

昨日コメントした「国交省によるドローン物流の検証実験地域」のうち、埼玉県秩父市のプロジェクト資料を読んでみました。秩父市ドローン配送協議会によるもので、代表事業者は楽天です。

http://www.mlit.go.jp/common/001250468.pdf

同じく先日コメントした、東電・ゼンリンのドローンハイウェイをベースとした検証実験です。既に、実証実験の候補ルートが4箇所具体的に挙げられており、今後検討の上、いずれかに決定されるようです。

東電・ゼンリンがドローンハイウェイを構築し、楽天のドローンが飛行し、楽天が、東電・ゼンリンにインフラ利用料を支払うビジネスモデルが想定されています。

前にも少し言及した点ですが、東電のドローンハイウェイ構想に関する土地(上空)の利用関係について、つらつらと考えてみました。

電力会社は、鉄塔・鉄柱や送電線の用地について利用権を保有していると思います。電力会社作成の説明書などを見ると、鉄塔・鉄柱の底地は電力会社が所有していることが多いようです。これに対して、送電線については地役権(送電線地役権)が設定されることが多いようですが、上空使用のための架設契約が締結されることもあるようです。後者の場合は、電力会社は、債権的権利を持つに留まります。

前者の地役権は、設定契約において定めた目的に従い、他人の土地を自己の土地の便益に供する権利であり、要役地の利益のために、承役地を利用することのできる物権です(民法280条)。

送電線地益権は発電所を要役地として、送電線下の用地(線下用地)を承役地とする権利です。

地益権は通常非排他的な権利ですが、送電線地役権は、承役地の土地利用を制限する一種の排他性があると言われています。

そのため、電力会社は、鉄塔・鉄柱用地の上空はもちろん、線下用地の上空について排他的な権利を持っており、東電のプロジェクトでは、これをドローンハイウェイのために用いるということだと予想します。

これは卓越したアイデアと技術だと思いますが、送電線地益権は電力事業のために設定されているものなので、そのままドローン事業のために用いることができるのか、線下用地の所有者との間で改めて合意する(地益権設定契約の変更契約等を締結する)ことも想定しているのかといった点が気になります。

これはおそらく後者ではないかと推測します。この場合は沢山の地主との折衝が必要になるので一定の手間はかかりますが、既に地主との間で契約がある以上、ドローンハイウェイを作るために一から土地利用権を取得するよりは遙かに容易だと思います。また、電力会社やその子会社はこの種の手続に精通しており、実現可能性はありそうだなと思いました。

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