東電・ゼンリンのドローンハイウェイ

ドローンによる利用の活発化が期待され、「ドローンロードマップ」のレベル3及びレベル4の展望を考える場合に、法規制上の課題は、目視外飛行と第三者上空飛行をどう可能にするかというポイントだと思います。前者は航空法上の規制で、後者はどちらかというと私法上の問題(土地所有者とその土地の上空を飛行するドローン事業者の権利調整の問題)と整理できるように思います。

前者は、ドローンの技術的性能の向上、運行管理システムの整備と足並みを揃えて規制が緩和されていく方向になるように思えます。

後者については、ドローン事業者が今後どのように土地利用権を確保するのかという点がポイントになりそうです。土地所有者不明法の活用も可能というのが自論であり、その他の「所有権の絶対性」の見直し議論も進められていますが、ドローンハイウェイ(ドローン専用の空路)を確保するというアプローチが有力で、ドローンロードマップの補足資料にも検討課題として記載されています。

東京電力とゼンリンが、2017年にドローンハイウェイ構想を発表し、楽天がこれに参加し、2018年7月12日に、2020年代はじめの実用化を目指すとの発表をしています。

朝日新聞の記事によれば、「実験ではまず、ゼンリンが鉄塔や周辺の地形を分析し、飛行ルート案をつくる。東電は鉄塔の頂上に風速や風向きを観測する機械を据え付ける。楽天はこれらのデータを元にドローンを飛ばす。実験コースはベンチャー企業にも開放するという。」とのこと。

また、東京電力の2017年3月のプレスリリース

http://www.tepco.co.jp/press/release/2017/1399151_8706.html

には以下の記載があります。

①送電鉄塔・架空送電線といったドローンの飛行における障害物となるインフラ設備の3次元データベースを整備・提供
②インフラ設備の3次元データベースを用い、設備点検場所までドローンを誘導する技術を共同開発
③電力設備との衝突を避けつつも、地上に張り巡らされた電力ネットワークを「空から見える道しるべ」として活用することにより、目的地まで中長距離の安全・安心な自律飛行を支える空域「ドローンハイウェイ」を実現
④機体の充電や点検・整備・修理サービスを提供する、「ドローンハイウェイ」に付帯する「ドローンポート」を整備

構想の内容は、東電やゼンリンのデーターをベースに、東京電力の送電線に沿った形でのドローンハイウェイを構築し、東京電力が所有する施設に、充電・点検を行うことのできるドローンポートを建設するといったもののようです。

東電はこのドローンハイウェイやドローンポートを、ドローン事業者に貸し出して、利用料の支払を受けるというビジネスモデルを考えているのでしょうか。鉄塔や送電線付近の上空の利用権が東京電力に帰属するのか、それとも、別途、地上権・地役権といった権利が設定されるのかといった点が関心があります。また、鉄塔・送電線付近は、ドローンの飛行が難しい、不安定になるイメージもありますが、そのあたりは技術的に克服可能なのでしょう。

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