ベネズエラのドローン事件と対策(WSJの記事から)

2018年8月6日付のWall Street Journalの記事には、ベネズエラの大統領に対するドローンによる暗殺未遂事件の概要と、ドローンの兵器利用に関する懸念・安全対策に関する議論が紹介されています。

ベネズエラは、反米左翼政権の下、政局が混乱し、外貨調達が困難となっており、ハイパーインフレの苦境に陥っています。仮想通貨の流通・資金調達に関するニュースも散見されます。

マドゥロ大統領が、2018年8月4日に、国家警備隊創設81周年の式典で演説中、合計約1.8kgのプラスチック爆弾を積んだ2機のドローンにより攻撃されました。1機が政府の通信妨害装置によってコースを外された後で爆発し、大統領は無事だったものの、兵士7⼈が負傷したようです。

戦争地域以外で、兵器化したドローンで攻撃が試みられた最初の事件であるとのことです。この事件がきっかけとなり、今後同様の攻撃が発生する懸念があると報じられています。

対応策として、遠隔識別技術(remote identification technology)の有効性が挙げられています。当局が、空中のドローンを追跡し、地上の操縦者を突き止めることができる技術です。米国では開発が進められているものの、まだ、完成に至っておらず、セキュリティが確保できないことから、米国にて商業用ドローンの普及が本格化していないと論じられています。米国連邦航空局(Federal Aviation Administration)は、遠隔識別システム案(proposed rules for remote identification systems)を公表する予定のようですが、2019年春以降になるようです。

また、トランプ政権は、潜在的に危険なドローンの撃墜・無力化を行うことの権限を国土安全保障省(Department of Homeland Security)に付与するよう議会に主張しているようです。

ビジネスの自由度・プライバシーの保護と公権力による介入の度合いは相対立するものですが、ドローンは兵器化、サイバーアタック・乗っ取りリスクがあります。当局の一定の関与によりセキュリティが確保されることにより、イノベーションが進展する可能性は否定できないように思います。

日本でも、今後、同じ論点が検討されると思われ、この議論の動向は引き続き注目されるところです。

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