Uberのドローン食品配送サービスの計画

2018年10月22日付のWall Street Journalは、米国の配車サービス大手のUber Technologiesが、ドローンによる食品配送サービスを、3年以内(2021年までに)実現する構想であることを報じています。同社のドローン事業部「Uber Express」は、同社の料理宅配サービスであるUber Eatsに含まれるとのこと。

Uber は、以前述べたとおり、Integration Pilot Program(IPP)が実施されているSan Diegoの事業者メンバーとなっており、WSJによれば、Uberは同市でドローンによる食品配送サービスの実証実験を行う予定です。同社は「We need flying burgers」と発表し、5分から30分での配送が可能になるとのこと。

San DiegoのIPPに関する2018年5月のプレスリリースにおいても、Uberのfood delivery構想についての言及があります。

San Diego’s local program will include projects like flying medical specimens from UC San Diego for expedited results and cost savings, testing food delivery from restaurants to consumers using Uber, enhancing public safety by deploying drones to incident scenes in advance of first responders and testing the integration and communication between driverless cars and unmanned aircraft systems.

WSJは、Uberが上記計画を実現するためには、様々なハードルがあり、3年以内というのは野心的であるとコメントしています。その理由として、以下のような点が挙げられています。

・Uberはアプリを中心に事業を展開しており、ハードウェアを開発した経験が不足していること

・FAAが、目視外飛行に関するルールを策定するのに時間を要すること。最初の素案(1st draft)が出てくるのが早くても、2019年の第一四半期であること

・目視外飛行の他、夜間飛行や信頼に足る機体の本人確認(reliable drone identification)に関するルールも必要になり、これらが出揃うのは2020年頃になる可能生があること

・技術的課題として、客の敷地に正確に着陸する技術、天気への影響、ドローンに対する攻撃・盗難への対処を要すること

Amazonは2013年に4-5年以内にドローンの宅配の実現を発表していましたが、IPPの選から漏れており、Alphabetもドローンのデザインを見直したり、各社試行錯誤をしている状況と思われます。WSJは、この事業は現在直ちに実現する訳ではないが、将来一気に動き、取り残されれば追いつくのは難しいという、スタートアップ企業CEOのコメントを掲載しています。

なお、Uberがこのような発表をしたことの背景に、同社がIPOに向けて準備を進めていく中で、同社がまだ黒字化しないライドシェアのみならず、輸送事業全般(電動バイク・スクーターのレンタル、食事配達、貨物の取り次ぎ)に進出することによって、「輸送のアマゾン」となりうることを示すことにあると、2018年10月29日付のFinancial Timesはコメントしています。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です