国家戦略特別区域法改正案が201回通常国会に提出される

2020年2月4日に、国家戦略特別区域法改正案が閣議決定の上、内閣府により、201回通常国会に提出されています。概要や法案は、内閣府のHPに公表されています。

スーパーシティ構想のための制度整備がメインですが、以前の国会に提出されていたものの可決せず廃案となった法案に盛り込まれていた、ドローンのための地域限定型のサンドボックス制度が含まれています。

そこには、ドローンに関する航空法や電波法の特則が規定されています。具体的には、技術実証区域計画として申請され、政府に認定されたドローンの実証実験に関して、航空法上の認可・承認や、電波法上の認可が一括して取得できるという制度です。もっとも、認定に至る前に、国家戦略特別区域会議が、航空法を所轄する国土交通大臣や、電波法を所轄する総務大臣の同意を取得する手続きが必要とされています。

複雑な規定ですが、コアとなる条文(25条の2、25条の5、25条の6)を抜粋してみました(青色は整理のため筆者が付しています)。併記されている自動車の自動運転に関する規定は敢えて割愛しています。

第三 革新的な産業技術の有効性の実証に係る道路運送車両法等の特例に関する措置の追加

(革新的な産業技術の有効性の実証に係る道路運送車両法等の特例)

第二十五条の二 国家戦略特別区域会議は、第八条第二項第二号に規定する特定事業として、国家戦略特別区域革新的技術実証事業(国家戦略特別区域内において、自動車の自動運転(自動車自動運転関係電波技術を含む。第三十七条の七第一項において同じ。)、無人航空機(航空法(昭和二十七年法律第二百三十一号)第二条第二十二項に規定する無人航空機をいう。以下同じ。)の遠隔操作又は自動操縦(無人航空機遠隔操作自動操縦関係電波技術を含む。第三十七条の七第一項において同じ。)その他の技術革新の進展に即応した高度な産業技術(特殊仕様自動車等応用関係電波技術及び無人航空機応用関係電波技術を含む。同項において同じ。)の有効性の実証のうち産業の国際競争力の強化及び国際的な経済活動の拠点の形成を図るために必要なものとして内閣府令で定めるものであって、次項第三号イからホまでのいずれかに掲げる行為を含むもの(同号ホに掲げる行為を含むものにあっては、同号イからニまでのいずれかに掲げる行為をも含むものに限る。以下「技術実証」という。)を行う事業をいう。以下同じ。)を定めた区域計画(以下「技術実証区域計画」という。)について内閣総理大臣の認定を申請し、その認定を受けたときは、内閣府令で定めるところにより、認定技術実証区域計画(当該認定を受けた技術実証区域計画(第九条第一項の変更の認定があったときは、その変更後のもの)をいう。以下同じ。)に実証事業者(技術実証の実施主体である事業者をいう。以下同じ。)として定められた者に対し、次に掲げる事項を記載した書面を交付するものとする。

当該認定技術実証区域計画(国家戦略特別区域革新的技術実証事業に係る部分に限る。第十四項及び第十六項において同じ。)の内容

二~四(略)

技術実証区域計画には、第八条第二項第四号に掲げる事項として、次に掲げる事項を定めるものとする。
一 実証事業者の氏名又は名称及び住所並びに法人にあっては、その代表者の氏名

二 技術実証の目的及び方法

三 技術実証に含まれる次のイからホまでに掲げる行為の区分に応じ、当該イからホまでに定める事項
イ (略)
ロ (略)
航空法第百三十二条各号のいずれかに掲げる空域において無人航空機を飛行させる行為 当該行為を行う空域及び期間並びに当該行為に使用する無人航空機を特定するために必要な事項
航空法第百三十二条の二第五号から第十号までに掲げる方法のいずれかによらずに無人航空機を飛行させる行為 当該飛行の方法及び当該行為を行う期間並びに当該行為に使用する無人航空機を特定するために必要な事項
実験等無線局電波法(昭和二十五年法律第百三十一号)第四条の二第二項に規定する実験等無線局をいい、自動車自動運転関係電波技術、無人航空機遠隔操作自動操縦関係電波技術、特殊仕様自動車等応用関係電波技術又は無人航空機応用関係電波技術の有効性の実証を行うためのものに限る。以下この条及び第二十五条の六において同じ。)を開設し、これを運用する行為 次の(1)から(3)までに掲げる実験等無線局の区分に応じ、当該(1)から(3)までに定める事項

(以下略)

四 安全確保上、環境保全上、社会生活上その他の支障を生ずることなく技術実証を行うために遵守すべき事項

五 その他技術実証の実施のために必要な事項

3 第一項及び前項第三号ホにおいて、次の各号に掲げる用語の意義は、それぞれ当該各号に定めるところによる。

一(略)

無人航空機遠隔操作自動操縦関係電波技術 無人航空機に開設する無線局又は当該無線局を通信の相手方とする無線局(人工衛星局等を除く。)に係る技術であって、前項第三号ハ又はニに掲げる行為に用いるものをいう。

三(略)

無人航空機応用関係電波技術 無人航空機を用いる事業活動に用いる無線局(人工衛星局等を除く。)に係る技術(第二号に規定する無人航空機遠隔操作自動操縦関係電波技術を除く。)であって、総務省令で定めるものをいう。

国家戦略特別区域会議は、技術実証区域計画を定めようとする場合において、当該技術実証区域計画に係る技術実証が次の各号に掲げる行為のいずれかを含むものであるときは、当該技術実証区域計画について、あらかじめ、それぞれ当該各号に定める者に協議し、その同意を得なければならない。

一(略)

二(略)

第二項第三号ハ又はニに掲げる行為 国土交通大臣

第二項第三号ホに掲げる行為 総務大臣

5 国家戦略特別区域会議は、技術実証区域計画を定めようとする場合において、必要があると認めるときは、実証事業者として当該技術実証区域計画に定めようとする者に対し、資料の提供、説明その他必要な協力を求めることができる。

6 第四項各号に定める者は、国家戦略特別区域会議に対し、同項の同意をするか否かの判断をするために必要な情報の提供を求めることができる。

7 管轄地方運輸局長は、特殊仕様自動車運行に係る技術実証区域計画についての第四項の規定による協議があった場合において、当該協議に係る技術実証区域計画に従って特殊仕様自動車運行を行うならば保安上又は公害防止その他の環境保全上の支障が生じないと認めるときは、同項の同意をするとともに、装置基準のうち当該特殊仕様自動車にあっては適合することを要しないこととするものを指定するものとする。

8 管轄地方運輸局長は、第4項の同意及び前項の規定による指定をしようとするときは、あらかじめ、国土交通大臣の承認を受けなければならない。

9 (略)

10 (略)

11 国土交通大臣は、第二項第三号ハ又はニに掲げる行為に係る技術実証区域計画についての第四項の規定による協議があった場合において、当該協議に係る当該行為により航空機の航行の安全並びに地上及び水上の人及び物件の安全が損なわれるおそれがないと認めるときは、同項の同意をするものとする。

12 総務大臣は、第二項第三号ホに掲げる行為に係る技術実証区域計画についての第四項の規定による協議があった場合において、当該協議に係る当該行為が次の各号のいずれにも適合しているときは、同項の同意をするものとする。

一 当該行為に係る実証事業者として当該技術実証区域計画に定めようとする者が電波法第五条第三項各号のいずれかに該当する者でないこと。

二 第二項第三号ホ(1)に掲げる実験等無線局にあっては、当該行為に係る技術実証区域計画に定めようとする無線設備の工事設計が電波法第三章に定める技術基準に適合すること。

三 当該行為に係る技術実証区域計画に定めようとする周波数が、第二項第三号ホ(1)に掲げる実験等無線局に係るものにあっては電波法第七条第一項第二号の規定、第二項第三号ホ(2)又は(3)に掲げる実験等無線局に係るものにあっては同法第二十七条の四第一号の規定に適合すること。

四 前三号に掲げるもののほか、第二項第三号ホ(1)に掲げる実験等無線局にあっては電波法第七条第一項第四号の総務省令で定める無線局(基幹放送局を除く。)の開設の根本的基準、第二項第三号ホ(2)又は(3)に掲げる実験等無線局にあっては同法第二十七条の四第三号の総務省令で定める特定無線局の開設の根本的基準に合致すること。

13 総務大臣は、第四項の同意をする場合において、必要があると認めるときは、当該同意に係る第二項第三号ホに掲げる行為について、条件を定めることができる。この場合において、その条件は、技術実証を行う者に不当な義務を課することとならないものでなければならない。

第二十五条の五 第二十五条の二第二項第三号ハに掲げる行為に係る技術実証区域計画の認定があったときは当該認定の日において、当該認定に係る認定技術実証区域計画に実証事業者として定められた者が当該認定技術実証区域計画に従って行う当該行為について、航空法第百三十二条ただし書の規定による許可があったものとみなす。
第二十五条の二第二項第三号ニに掲げる行為に係る技術実証区域計画の認定があったときは、当該認定の日において、当該認定に係る認定技術実証区域計画に実証事業者として定められた者が当該認定技術実証区域計画に従って行う当該行為について、航空法第百三十二条の二ただし書の承認があったものとみなす

第二十五条の六 第二十五条の二第二項第三号ホに掲げる行為に係る技術実証区域計画の認定(次項に規定するものを除く。)があったときは、総務大臣(電波法第百四条の三第一項の規定による委任を受けた者を含む。以下この条において同じ。)は、速やかに、当該認定に係る認定技術実証区域計画に実証事業者として定められた者に対し、同号ホ(1)に掲げる実験等無線局にあっては第一号から第四号までに掲げる事項を指定して同法第十二条の免許を、第二十五条の二第二項第三号ホ(2)に掲げる実験等無線局にあっては第一号、第三号、第五号及び第六号に掲げる事項を、同項第三号ホ(3)に掲げる実験等無線局にあっては第 一号、第三号、第六号及び第七号に掲げる事項を指定して同法第二十七条の五第一項の免許を与えなければならない。この場合においては、第二十五条の二第二項第三号ホ(1)に掲げる実験等無線局に係る当該指定は同法第八条第一項の規定による指定と、同号ホ(2)又は(3)に掲げる実験等無線局に係る当該指定は同法第二十七条の五第一項の規定による指定とみなして、同法の規定を適用する。

一 電波の型式及び周波数

二 電波法第八条第一項第三号に規定する識別信号(次項第二号において単に「識別信号」という。)

三 空中線電力

四 電波法第六条第一項第六号に規定する運用許容時間(次項第二号及び第三項第四号において単に「運用許容時間」という。)

五 電波法第二十七条の五第一項第三号に規定する指定無線局数(次項第二号において単に「指定無線局数」という。)

六 電波法第二十七条の五第一項第四号に規定する運用開始の期限

七 無線設備の設置場所とすることができる区域

(以下略)

(2020.3.2)

 

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です