関西国際空港にてドローンらしき物体が目撃され、離発着が一時停止

2019年10月19日の20時45分頃、関西国際空港に到着する飛行機の乗員が、空港周辺の上空に、ドローンらしき飛行物体を目撃したことから、全滑走路で離発着が40分ほど停止したとのことです。

同日付の共同通信ニュースの他、各紙が報じています。

2018年12月のガトウィック空港の事案を皮切りに、各国の空港で同様の事案が発生しています。

国内ではこの事件が初と思ったのですが、2019年11月9日の日経新聞の記事によれば、10月7日にも同じく関西国際空港で発生しており、今回は2件目のようです。

改めて整理すると、航空法132条1号で空港周辺地域で許可なくドローンを飛行することは禁止されており、刑事罰の対象です。

<航空法>

第132条 何人も、次に掲げる空域においては、無人航空機を飛行させてはならない。ただし、国土交通大臣がその飛行により航空機の航行の安全並びに地上及び水上の人及び物件の安全が
損なわれるおそれがないと認めて許可した場合においては、この限りでない。

1 無人航空機の飛行により航空機の航行の安全に影響を及ぼすおそれがあるものとして国土交通省令で定める空域

<航空法施行規則>

第236条 法第132条第1号の国土交通省令で定める空域は、次のとおりとする。

1 航空機の離陸及び着陸が頻繁に実施される空港等で安全かつ円滑な航空交通の確保を図る必要があるものとして国土交通大臣が告示で定めるものの周辺の空域であつて、当該空港等及びその上空の空域における航空交通の安全を確保するために必要なものとして国土交通大臣が告示で定める空域

2 前号に掲げる空港等以外の空港等の周辺の空域であつて、進入表面、転移表面若しくは水平表面又は法第56条第1項の規定により国土交通大臣が指定した延長進入表面、円錐表面若しくは外側水平表面の上空の空域

3 法第38条第1項の規定が適用されない飛行場(自衛隊の設置する飛行場を除く。以下同じ。)の周辺の空域であつて、航空機の離陸及び着陸の安全を確保するために必要なものとして国土交通大臣が告示で定める空域

4 前3号に掲げる空域以外の空域であつて、地表又は水面から150メートル以上の高さの空域

1号の「国土交通大臣の告示」とは、「無人航空機の飛行禁止空域等を定める告示」(国土交通省告示460号)のことで、新千歳空港、成田国際空港、東京国際空港、中部国際空港、大阪国際空港、関西国際空港、福岡空港、那覇空港の8空港が指定されており、これらの空港においては、進入表面若しくは転移表面の下の空域、空港の敷地の上空の空域の飛行が禁止されています。これは、令和元年9月18日の航空法施行規則の改正に伴う新たな規制になります。

今回の関西国際空港の事案は、上記の改正後の航空法施行規則236条1号の規定に抵触することになります。

その他、コンセッションに基づき空港の運営会社となっている関西エアポートが定めている関西国際空港供用規定には以下のような規定があり、ドローンの持ち込み、飛行を禁じています(6条)。民間企業のルールという位置づけのため、違反行為は刑事罰の対象にはなりませんが、関西エアポートは、上記違反に関して、制止、退去、撤去を命じることがあると規定しています(28条)

<関西国際空港供用規定(抜粋)>

(禁止行為)
第6条 空港においては、次に掲げる行為を行ってはならない。
(2) 正当な理由がなく、刃物、棒、小型無人機(重要施設の周辺地域の上空における小型無人機等の飛行の禁止に関する法律(平成二十八年法律第九号)第二条第三項に規定する小型無人機をいう。以下同じ。)、その他の使用方法により他者に危害を加える又は混乱を招くおそれのある物を持ち込むこと。

2 空港においては、会社の承認を受けた場合を除き、次に掲げる行為を行ってはならない。
(7) 小型無人機を飛行させること。

(制止、退去等)
第28条 会社は、次に掲げる者に対し、制止をし、又は退去若しくは撤去を命ずることがある。
(3) 第6条の規定に違反して禁止行為を行った者

(2019.10.23)

追記:  航空法施行規則に関する記載等を補正しました(2019.11.10)

 

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