「無人航空機に係る規制の運用における解釈について」の改正

昨日とりあげた、2019年8月23日付航空法施行規則の改正と併せて、国交省は、HP上で、同日付で「無人航空機に係る規制の運用における解釈について」の改正を発表しています。今回が初の改正になります。

これは、2015年に制定され、国交省が、ドローンに関する航空法(2条22項、132条、132条の2)の条文中、抽象的で、多義的に読める規定や文言に関して、具体的な解釈内容を示したガイドラインです。

ドローンを飛行する者は、これを遵守しており、重要なルールブックといえます。

例えば、重量200g未満の無人航空機は航空法の規制から除外されますが、この場合の「重量」に関して、

「無人航空機本体の重量及びバッテリーの重量の合計を指しており、バッテリー以外の取り外し可能な付属品の重量は含まないものとする」

という、ドローンスクールでも習う、有名なルールは、法令には規定がありませんが、このガイドラインに記載されています(1(2))。

いわゆる、通達に近い性質と言えます。この内容は、無人航空機(ドローン、ラジコン等)の飛行に関するQ&Aにも反映されています。

今年の航空法・航空法施行規則の改正に伴い、以下の規定が追加されており、運用・実務の指針になると思います。

3.航空法第 132 条の2関係【飛行の方法】

(1)アルコール等の影響により正常な飛行ができないおそれがある間の飛行禁止

アルコール等の摂取時には注意力や判断力が低下し、無人航空機の正常な飛行に影響を与えるおそれがあることから、航空法第 132 条の2第1号により、アルコール又は薬物の影響により正常な飛行ができないおそれがある間の飛行を禁止している。

ここで、「アルコール」とは、アルコール飲料やアルコールを含む食べ物をいうものとする。

アルコールによる身体への影響は、個人の体質やその日の体調により異なるため、体内に保有するアルコールが微量であっても無人航空機の正常な飛行に影響を与えるおそれがある。このため、体内に保有するアルコール濃度の程度にかかわらず体内にアルコールを保有する状態では無人航空機の飛行を行わないこと。

また、「薬物」とは、麻薬や覚醒剤等の規制薬物に限らず、医薬品も含まれるものとする。

さらに、航空法第 132 条の2第1号の規定に違反して、公共の場所において無人航空機を飛行させた場合には1年以下懲役又は 30 万円以下の罰金が科されるところ、ここで「公共の場所」とは、公衆すなわち不特定多数の者が自由に利用し又は出入りすることができる場所をいい、道路、公園、広場、駅等がこれに含まれ得る。

(2)飛行に必要な準備が整っていることを確認した後の飛行

飛行前に機体の点検等を実施することで故障等による落下を防止するため、航空法第 132 条の2第2号により、飛行に必要な準備が整っていることを確認した後において飛行させることとしている。また、航空法施行規則第 236 条の4に定められた確認しなければならない事項とその具体的な例は次の通りである。

(i)当該無人航空機の状況について外部点検及び作動点検を行うこと

具体的な例:

・各機器(バッテリー、プロペラ、カメラ等)が確実に取り付けられていることの確認
・機体(プロペラ、フレーム等)に損傷や故障がないことの確認
・通信系統、推進系統、電源系統及び自動制御系統が正常に作動することの確認

(ii)当該無人航空機を飛行させる空域及びその周囲の状況を確認すること

具体的な例:

・飛行経路に航空機や他の無人航空機が飛行していないことの確認
・飛行経路下に第三者がいないことの確認

(iii)当該飛行に必要な気象情報を確認すること

具体的な例:

・風速が運用限界の範囲内であることの確認
・気温が運用限界の範囲内であることの確認
・降雨量が運用限界の範囲内であることの確認
・十分な視程が確保されていることの確認

(iv)燃料の搭載量又はバッテリーの残量を確認すること

具体的な例:

・十分な燃料又はバッテリーを有していることの確認

(3)航空機又は他の無人航空機との衝突を予防するための方法による飛行

航空機又は他の無人航空機との衝突を予防するため、航空法第 132 条の2第3号により、無人航空機をその周囲の状況に応じ地上に降下させる等の方法により飛行させることとしている。また、航空法施行規則第 236 条の5に定められた衝突を予防するための方法とその具体的な例は次の通りである。

(i)無人航空機を飛行させる者は、無人航空機の飛行経路上及びその周辺の空域において飛行中の航空機を確認し、衝突のおそれがあると認められる場合は、当該無人航空機を地上に降下させることその他
適当な方法を講じることとする。

(ii)無人航空機を飛行させる者は、無人航空機の飛行経路上及びその周辺の空域において飛行中の他の無人航空機を確認したときは、他の無人航空機との間に安全な間隔を確保して飛行させること、又は
衝突のおそれがあると認められる場合は、無人航空機を地上に降下させることその他適当な方法を講じることとする。

ここで、「回避させること」とは、衝突する可能性のある方向とは別の方向に無人航空機を飛行させることをいい、空中で停止することも含まれ得る。

(4)他人に迷惑を及ぼすような方法での飛行禁止

不必要に騒音を発したり急降下させたりする行為は、周囲に不快感を与えるだけでなく、危険を伴うこともあることから、航空法第 132 条の2第4号により、他人に迷惑を及ぼすような方法での飛行を禁止
している。

ここで、航空法第 132 条の2第4号の規定は、危険な飛行により航空機の航行の安全や地上の人や物件の安全が損なわれること防止することが趣旨であることから、「他人に迷惑を及ぼすような方法」とは
、人に向かって無人航空機を急接近させることなどをいうものとする。

同日(2019年8月23日)に、無人航空機の飛行に関するQ&A無人航空機の安全な飛行のためのガイドラインの改訂も発表されています。

(2019.8.27)

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