宮城県伊豆沼・内沼環境保全団体が、2019年4月23日に、「ドローンを活用したガンカモ類調査ガイドライン」を、同団体のHPで公表しています。
2019年5月23日の毎日新聞も報じています。
このガイドラインでは、ドローンによる水鳥のモニタリングが有用性を前提に、水鳥への負の影響や予見できないリスクを回避するために、ドローンがどの程度水鳥に接近できるかという観点の実験結果等がまとめられています。
ガイドラインのコアとなる内容の一部を抜粋してみました。
●「水鳥調査におけるUAVの有効性」から一部抜粋
日本には190 万羽あまりのガン、カモ、ハクチョウ類が飛来する。これらのガンカモ類のモニタリングは1970 年より始まり、都道府県ごとに毎年1月に実施され、環境省によってとりまとめられている。
また、2003 年には年複数回のカウントを行うモニタリングサイト1000 も全国的に開始された。
一方で、識別やカウント能力などスキルのある人材に依存している現在のモニタリングでは、調査者の高齢化などその人材不足が深刻化しており、効率的かつ省力的にモニタリングを継続することが求められる。
UAV は対象物の直上から高解像度の画像を得ることが可能であり、画像判別による個体数計測などモニタリングの効率化や省力化が期待される。
しかしながら、UAV はガンカモ類へ負の影響や予見できないリスクを与える可能性もあり、UAV がガンカモ類へ与える影響を正しく評価し、リスクを回避あるいは縮小することが求められる。
このガイドラインでは、野生動物へ負の影響やリスクを与えずにUAV を用いたモニタリングを可能とするため、水鳥、特にガンカモ類を対象に、UAV による接近実験をはじめとするさまざまな実験を行った。その結果にもとづき、鳥類、特にガンカモ類へできるだけ影響を与えずにUAV をモニタリングに活用する方法をガイドラインとしてまとめた。
●「機体を水平に接近させる時の飛行高度の目安」から一部抜粋
・ マガンの調査では、水面にいる群れを対象とする場合は、50m よりも高い高度で飛行させることが望ましい。一方、陸上にいる群れを対象とする場合は、理想的には150m よりも高い高度で飛行させることが望ましい。
・ カモ類の調査では、100m よりも高い高度で飛行させることが望ましい。最低でも30m よりも高い高度で飛行させるべきである。
・ ハクチョウ類の調査では、100m よりも高い高度で飛行させることが望ましい。最低でも20m よりも高い高度で飛行させるべきである。
(2019.6.4)
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