愛知県におけるインフラ設備点検の実証実験

ドローンの利活用に関する積極策を打ち出す地方公共団体のニュースが目を引きます。

2018年10月5日付の中日新聞によれば、愛知県は、民間企業が、ドローンを活用してインフラ設備点検の実証実験を行う場として、愛知県が管理する橋を貸し出すことを計画していると発表していました。そして、同月19日の中日新聞によれば、豊川市の豊川に架かる主要地方道東三河環状線の三上橋をその場所とすることが決定されたとのことです。

航空法上の許可承認を行う主体は国(国土交通大臣)ですが、愛知県が(橋の上空の飛行を条例規制している場合には)その規制を解除する、又は、管理者として、橋の上空飛行を許可する(上空を貸し出す)ということだと思います。

三上橋周辺は、河川敷も広がっていて、実験に適したエリアのようです。中日新聞には、以下のような情報も出ています。

①2019年1月末までに6回の実験を予定

②実験場は、橋の中央から西側の部分約140m

③現在の道路法では作業員による近接目視が必要とされている橋の点検をロボットで代替する方法を探る。

上記③に関して、現在の道路法施行規則は以下のような規定となっており、トンネル・橋の点検は近接目視により、5年に1回の頻度で行うことが原則とされています。

第四条の五の五 令第三十五条の二第二項の国土交通省令で定める道路の維持又は修繕に関する技術的基準その他必要な事項は、次のとおりとする。

一 トンネル、橋その他道路を構成する施設若しくは工作物又は道路の附属物のうち、損傷、腐食その他の劣化その他の異状が生じた場合に道路の構造又は交通に大きな支障を及ぼすおそれがあるもの(以下この条において「トンネル等」という。)の点検は、トンネル等の点検を適正に行うために必要な知識及び技能を有する者が行うこととし、近接目視により、五年に一回の頻度で行うことを基本とすること
二 前号の点検を行つたときは、当該トンネル等について健全性の診断を行い、その結果を国土交通大臣が定めるところにより分類すること。
三 第一号の点検及び前号の診断の結果並びにトンネル等について令第三十五条の二第一項第三号の措置を講じたときは、その内容を記録し、当該トンネル等が利用されている期間中は、これを保存すること。

インフラ施設の老朽化と人員不足が問題になっていますので、ドローンによる点検の有効性が実証されていけば、上記規制の枠組みも変わっていく可能性があります。

愛知県は、国家戦略特区に指定され、成長産業・先端技術の中枢拠点となることが志向されています。先日お伝えしたWorld Robot Summitでも、愛知県のブースがあり、ロボットの活用例が紹介され、ロボット製作会社のデモが行われていました。特区に基づく補助金を受けているとのことです。

中日新聞によれば、愛知県は、ドローンの実証エリアとして、①知多市の名古屋港、②西尾市の矢作川浄化センター、③長久手市の愛・地球博記念公園を、実証実験場として民間に提供しドローン製造会社や測量会社等が実験を実施していたようです。今回のような橋の提供は全国的にも珍しいとのことです。

なお、インフラ設備点検の実証実験の場としては、「ロードマップ」にも記載されている福島ロボットテストフィールドに専用の設備が建設予定のようですが、World Robot Summitにて福島市のご担当者にも話を伺ったところ、現在建設中で、完成は2019年度のようです。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です