福岡県糸島市の航空法違反(30m違反の事案)

2018年10月23日の朝日新聞が、福岡県糸島市におけるドローンの航空法違反について報じています。

同市の加布里公園上空にて、重さ485グラムのドローンを飛行していたところ、同公園から約300m離れた駐車場に墜落したとのことです。近所の方に通報され、今回の事件となったようです。カメラの映像が調べられ、ドローンと「公園内に止めていた車」との距離が11.8mまで接近した飛行があったことが判明しました。パイロットは国の承認を得ていなかったとのことです。そのため、承認なく、航空法で定める30mの距離を確保せずに飛行させた事実を以て航空法違反とされています。関連する法律は航空法132条の2第3号、航空法施行規則236条の4になります。

<航空法>

(飛行の禁止空域)
第132条

何人も、次に掲げる空域においては、無人航空機を飛行させてはならない。ただし、国土交通大臣がその飛行により航空機の航行の安全並びに地上及び水上の人及び物件の安全が損なわれるおそれがないと認めて許可した場合においては、この限りでない。

1 無人航空機の飛行により航空機の航行の安全に影響を及ぼすおそれがあるものとして国土交通省令で定める空域

2 前号に掲げる空域以外の空域であつて、国土交通省令で定める人又は家屋の密集している地域の上空

(飛行の方法)
第132条の2

無人航空機を飛行させる者は、次に掲げる方法によりこれを飛行させなければならない。ただし、国土交通省令で定めるところにより、あらかじめ、次の各号に掲げる方法のいずれかによらずに飛行させることが航空機の航行の安全並びに地上及び水上の人及び物件の安全を損なうおそれがないことについて国土交通大臣の承認を受けたときは、その承認を受けたところに従い、これを飛行させることができる。

1 日出から日没までの間において飛行させること。

2 当該無人航空機及びその周囲の状況を目視により常時監視して飛行させること。

3 当該無人航空機と地上又は水上の人又は物件との間に国土交通省令で定める距離を保つて飛行させること。

4 祭礼、縁日、展示会その他の多数の者の集合する催しが行われている場所の上空以外の空域において飛行させること。

5 当該無人航空機により爆発性又は易燃性を有する物件その他人に危害を与え、又は他の物件を損傷するおそれがある物件で国土交通省令で定めるものを輸送しないこと。

6 地上又は水上の人又は物件に危害を与え、又は損傷を及ぼすおそれがないものとして国土交通省令で定める場合を除き、当該無人航空機から物件を投下しないこと。

<航空法施行規則>

(飛行の方法)
第236条の4

法第132条の2第3号の国土交通省令で定める距離は、三十メートルとする。

sorapassで調べてみると、糸島市は人口密集地が多いですが、加布里公園は人口密集地ではありません。ニュースで報じられる航空法違反の事案は無承認の人口密集地飛行が多いですが、今回はこれには該当しません。そこで、この「30m違反」が適用されたと思います。人口密集地か否かは上記のとおり公開されている情報から明らかなので人口密集地違反の認定は比較的容易と思いますが、30m違反を認定するにはより調査・立証が必要になると思います。

新聞記事では、「公園に止めていた車」とドローンの距離が問題にされています。上記のとおり、航空法上、「ドローン」と「人又は物件」との間を30m確保することが必要ですが、これは他人又は他人の物であって、「ドローン」と「自分の車(=自己の物件)」との距離を30m離す必要はないように思います(国土交通省Q&AのQ8-1参照)。

従って、「公園に止めていた(自分の)車」ではなく、「公園に止められていた他人の車」との距離が30mに満たなかったということだと思うのですが、この点の事実関係は、新聞記事からは必ずしもはっきりしません。少し興味があるところです。

また、車との距離が11.8mまで接近したのは墜落する瞬間だったのかということも気になります。飛行可能エリアで飛行させるにしても、操縦が上手くいかなくなって飛行禁止エリアに入り込んでしまうリスクがあるため、「人口密集地の飛行」と「30m未満の飛行」については国交省の許可・承認を取得しておくべきと思います。

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