政府がウクライナへ民生用ドローンの供与を決定

政府が、4月19日にウクライナ政府に対する物資供与の対象として、民生用ドローンを含めると発表しています。20日の日経新聞が報じています。

報道によると、防衛省・自衛隊が保有していた民生用ドローンが対象とのこと。

自衛隊法116条の3に基づく決定のようです。

自衛隊法116条の3

(開発途上地域の政府に対する不用装備品等の譲渡に係る財政法の特例)
第百十六条の三 防衛大臣は、開発途上にある海外の地域の政府から当該地域の軍隊が行う災害応急対策のための活動、情報の収集のための活動、教育訓練その他の活動(国際連合憲章の目的と両立しないものを除く。)の用に供するために装備品等(装備品、船舶、航空機又は需品をいい、武器(弾薬を含む。)を除く。以下この条において同じ。)の譲渡を求める旨の申出があつた場合において、当該軍隊の当該活動に係る能力の向上を支援するため必要と認めるときは、当該政府との間の装備品等の譲渡に関する国際約束(我が国から譲渡された装備品等が、我が国の同意を得ないで、我が国との間で合意をした用途以外の用途に使用され、又は第三者に移転されることがないようにするための規定を有するものに限る。)に基づいて、自衛隊の任務遂行に支障を生じない限度において、自衛隊の用に供されていた装備品等であつて行政財産の用途を廃止したもの又は物品の不用の決定をしたものを、当該政府に対して譲与し、又は時価よりも低い対価で譲渡することができる

3月8日に一部改正された現在の防衛装備移転三原則の運用指針において、防衛装備品を現在のウクライナに移転する方針が定められています。以下が関連の規定です。

防衛装備移転三原則の運用指針

1 防衛装備の海外移転を認め得る案件
防衛装備の海外移転を認め得る案件は、次に掲げるものとする。

(2) 我が国の安全保障に資する海外移転として次に掲げるもの(我が国の安全保障の観点から積極的な意義がある場合に限る。)

イ 米国を始め我が国との間で安全保障面での協力関係がある諸国との安全保障・防衛協力の強化に資する海外移転であって、次に掲げるもの

(オ) 国際法違反の侵略を受けているウクライナに対して自衛隊法第116条の3の規定に基づき防衛大臣が譲渡する装備品等に含まれる防衛装備の海外移転

民生用ドローンが現地の戦闘で用いられているというニュースも出ているため、議論になっているように思います。

政府は、監視のための、カメラ付民生用ドローンであり、防衛装備品にも該当せず、ウクライナ政府から目的外使用されないことを確認した上での供与と発表しています。民生用ドローンは武器ではないと思うので、このような法解釈はできると思います。

(2022.4.27)

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