W杯・五輪会場でのドローン飛行禁止に関する緊急安全対策報告書

ラグビーワールドカップ、オリンピック・パラリンピック会場のドローンの飛行が制限される方向で検討されていることについて、前に触れましたが、法改正が実施されることになりそうです。

2018年12月20日に、小型無人機に関する関係府省庁連絡会議(第8回)が開催され、小型無人機等に係る緊急安全対策に関する報告書が取りまとめられています。

1.  報告書が提言する法律案の内容

報告書は、ドローンに関する現行法の概要、各分野での活用状況、普及に伴う諸問題について言及した上で、ドローンによるテロ攻撃の脅威に備えるべく、以下の措置を法律案に盛り込むべきとしています。

①ラグビーワールドカップ2019の大会会場等及び2020 年東京オリンピック・パラリンピック競技大会の大会会場等に係る措置

小型無人機等飛行禁止法の仕組みを参考に、組織委員会の要請を受けて文部科学大臣が指定するラグビーワールドカップ2019の大会会場等及び2020年東京オリンピック・パラリンピック競技大会の大会会場等の周辺地域上空における小型無人機等の飛行を原則として禁止し、組織委員会の同意を得た小型無人機等の飛行については例外として可能とする

●警察官等に違法な小型無人機等に係る排除命令や排除措置の権限を付与するとともに、違反者に対する罰則を規定する。

●両大会の円滑な準備及び運営に資するための暫定的な措置とする。

主要な空港(ラグビーワールドカップ2019開催及び2020 年東京オリンピック・パラリンピック競技大会開催に伴うもの)に係る措置

●小型無人機等飛行禁止法の仕組みを参考に、大会関係者の輸送に際して使用される空港で国土交通大臣が指定する主要な空港の周辺地域上空における小型無人機等の飛行を原則として禁止し、空港管理者の同意を得た小型無人機等の飛行については例外として可能とする。

●警察官等に違法な小型無人機等に係る排除命令や排除措置の権限を付与するとともに、違反者に対する罰則を規定する。

●両大会の円滑な準備及び運営に資するための暫定的な措置とする。

●航空機が頻繁に離発着する空港の特殊性を踏まえ、空港の周辺地域上空を小型無人機等が違法に飛行している場合、空港管理者は、警察官等が排除命令や排除措置を行うに当たって、航空機と小型無人機等との接触等が起こることのないよう、滑走路を閉鎖するなど、空港に対する危険を未然に防止するために必要な措置を講ずるものとする。

●空港の特殊性等を踏まえ、空港に対する小型無人機等の飛行による危険を未然に防止するため、空港管理者等は、空港の周辺地域等上空を飛行する小型無人機等の検知及び安全な排除手法等の確立・実施に向けた取組を推進するとともに、違法な小型無人機等の警察等への通報など警察官等への協力等を行う。

防衛施設に係る措置

●防衛大臣が指定する防衛施設(自衛隊施設及び合衆国軍隊の施設・区域)を小型無人機等飛行禁止法の対象施設に追加する。

●防衛施設の特殊性を踏まえ、自衛隊の施設を職務上警護する自衛官についても一定の排除命令・排除措置の権限を付与するなどの措置を講ずる。

ドローンの飛行を規制する法律は、航空法と小型無人機等飛行禁止法の2つがあり、空港付近の飛行は、航空法でも規制されているものの、①~③いずれも、200g未満のドローンの飛行も禁止する小型無人機等飛行禁止法をベースに規制する方向のようです

③はW杯やオリンピック・パラリンピックとは直接の関係はないですが、上記施設上空での飛行が規制対象になっていなかったことから、テロ対策の観点から、規制対象として追加するべきという方向になったようです。

2018年12月21日の東京読売新聞によれば、政府は来年の通常国会に関連法改正案が提出する方針とのことです。

いずれもドローン関連法の重要な改正になりそうです。

2.  重要インフラ施設への攻撃への対応・検討課題

なお、この報告書は、ドローンによる重要インフラ施設への攻撃への対策についても要検討である点にも言及しています。法律案に盛り込まれる段階ではないですが、具体的な技術開発(ドローン検知システム、ドローン対抗システム)、ドローン所有者情報を把握する方法等が検討課題として挙げられています。

 

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