ドローンへの携帯電話無線設備搭載解禁の動き

2018年11月3日付日経(朝刊)は、総務省が、携帯電話の無線設備をドローンに搭載して上空で使えるようにする方針であると報じています。実現すれば電波法(電波法施行規則)の重要な改正になり、商業用ドローンの技術革新・実用化の追い風になると思います。

2018年10月30日に行われた、規制改革推進会議に係る第2回農林ワーキンググループの関連資料の中に、総務省がまとめた資料があります。

電波法は難しい法令ですが、このニュースに関連する部分について、簡潔な整理を試みました。

1.  現在の電波法の枠組み

スマートフォンや携帯電話は、無線局の1つである「陸上移動局」(電波法施行規則4条1項12号)に該当し、その開設には免許の取得が必要です。通常、携帯電話会社が包括免許を取得しています(電波法27条の2)

「陸上移動局」は、以下のとおり、定義されており、上空での利用が認められていません(→ドローンに携帯電話の無線設備を搭載することは認められない)

陸上移動局:  陸上を移動中又はその特定しない地点に停止中運用する無線局(船上通信局を除く。)をいう。

また、(携帯電話の)基地局は、以下のとおり定義されており(電波法施行規則4条1項6号)であり、ドローンは、陸上移動局ではないことから、基地局とドローンとの通信が想定されていない(→ドローンに携帯電話の無線設備を搭載することは認められない)という整理もできると思います。

基地局:  陸上移動局との通信(陸上移動中継局の中継によるものを含む)を行うため陸上に開設する移動しない無線局(陸上移動中継局を除く)をいう。

 

2.  ドローンに携帯電話の無線設備を搭載するメリット・デメリット

携帯電話は、高速・大容量のデーター伝送が可能であることから、商業用ドローンに搭載し、画像・データー伝送等に利用したいというニーズが強くあります。他方で、ドローンからの通信が増えれば、地上の携帯電話の混線等運用に支障を来すおそれがあります。

総務省のHPには、「携帯電話等の上空利用に関する受信環境調査概要」が記載されており、メリットとデメリットについて以下のように書かれています。

高速通信が可能。ドローンからのデータ・画像の取得には問題ない

地上の携帯電話等の運用に支障をきたさない範囲で利用することが必要

・上空の携帯電話等の送信電力値、同一地域で同時送信可能な台数の上限等について、引き続き検討が必要

・隣接帯域等を利用する携帯電話等サービス及び他業務の運用に支障をきたさない範囲で利用することが必要

・隣接帯域等を利用する携帯電話等サービス及び他業務への影響について、引き続き検討が必要

 

3.  携帯電話会社による試験利用(実用化試験局制度)

上記ニーズがあったことから、携帯電話事業者(NTTドコモやKDDI)によって、実用化試験局(電波法施行規則4条1項23号)の制度を用いて、携帯通信を搭載したドローンの利用がなされていました。ただ、これは試験的に行われていたにとどまります。

4.  今回のニュースの意義

日経新聞や総務省の資料によれば、2018年度中に技術的な検討を始め、干渉を軽減できるかを検証した上で、電波法施行規則を改正し、一定の条件付きで解禁する方向のようです。

海外でも、同じニーズがあるので、同様の議論が出始めているとのことです。

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