昨日記載したLitigation Fundについて、Economistの記事をベースに、もう少し整理してみようと思います。コンパクトながら、内容がディテールに及んでおり、秀逸な記事だと思います。
仕組み(スキーム)
●ファンドは、巨額訴訟の原告に投資することもあれば、敗訴によってリーガルフィーを回収できないリスクをヘッジしたい(原告側)法律事務所に投資することもある。投資金は、弁護士費用に充てられる。
●投資先が勝訴して賠償金を得たり、和解金を得た場合には、ファンドは、その金額の分配を受ける。投資先が敗訴した場合は、ファンドは支払いを受けられない。
●ファンドにとって、勝訴筋の紛争を探すことが重要になる。その作業に、弁護士も関与している。見込みがあれば、スタートアップ企業も投資先になる(イスラエルのスタートアップの国際的企業に対する企業秘密違反に基づく賠償の紛争に投資された例が挙げられている
●ファンドに対するリターンの計算方法: ①投資金の●倍、②勝訴額・和解額の●%、③①②を組み合わせる方法といった方法がある。
最近の傾向
●ファンドレイズ及び(紛争に対する)投資は年々増加
●投資対象は、単体の紛争(stand alone)のみならず、複数の紛争がポートフォリオとして組まれることもある。
●ファンドが、投資利益を、他のファンドに売却するセカンダリー取引も存在する。
雑感
保険と比べてみると、利用者が訴訟費用を賄う機能がある点共通する一方、資金提供者の収益内容は対照的だと思います。
数多くの巨額訴訟のある米国では、ソーシングと利回りの合意を上手くやれば、短期的に大きなリターンを上げることができそうです。法律とビジネスに精通する弁護士が活躍できる分野と言えます。日本ではどうか。国内訴訟に関しては、制度上、賠償額が実損額ベースで抑えられ、投資対象となる訴訟の存在・内容を知ることが難しいこと、訴訟件数が減少しているとも言われており、米国のようにはいかないでしょうね。
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