千葉市と楽天によるドローン宅配の実証実験②

前の投稿で、千葉市が、楽天と共同して、ドローンと地上配送ロボットを使って、マンションモデルルームの玄関前まで荷物を運ぶ実証実験について書きました。

この実験に関連して、2018年10月24日に実施された宅配分科会の議事録がHP上で公表されており、より詳細な事情が分かり、なかなか興味深いです。

実証実験を行う前に、関係者が、委員会の構成員に対して、実験の概要について説明をしている会合で、以下のような説明・発言があります。

<野村座長の発言(抜粋)>

ここでの目玉は、二子玉川にあります楽天本社のところから約40kmの距離がございますけれども、そちらから、LTE通信、携帯電話の通信回線を使って遅延なく飛行させたということが大きな目玉でございます。実際には、その絵にございますように、海岸から飛び出しまして、一旦海に出て、そして、海浜公園のほうに入ってくる。それで、熊谷市長のほうで、実は、スマホでオーダーをしていただいて、たしか本とモバイルバッテリーだったでしょうか、それを注文していただいて、実際に受け取りというのも行ったところでございます。
また、この段階で課題というところにもございますけれども、ドローン宅配の実証実験に当たり、第三者上空飛行が全く許可されていないという現状を考えまして、やはり、これに関して、レギュラトリー・サンドボックスという内閣府で取り組んでいただいている新しい実験の姿というものを、ぜひ、積極的に検討していただきたいということで、お願いをしたところでございます。

一応、これで搬送物を受け取れますと。残った課題としては、東京湾上空をどのように飛行するかという課題とか、あるいは、非常に重要なのですが、花見川に入ってから、ここにございますように、道路が4本、JR京葉線がございます。これをどのように横切るかという、かなり難問が控えておりまして、ここは、やはり、サンドボックス制度等の活用により、新しい技術開発等を含めて実現をしていきたいと思っているところです。

 

<楽天の発言(抜粋)>

この後、デモを実施しますが、やはり、デモをやる目的というのは、先ほど、野波座長からも御説明がありましたとおり、しっかりとサービスとして2020年までに実現することです。このビジョンのためにデモを行うことこそが、我々サービス事業者としては大事なものだと考えています。サービスを実現するためには、先ほどの線路の上を越える、また、第三者上空を飛ぶ、そして、道路の上を飛ぶ、そういったところを一つ一つ解決していく必要があります。これらの課題を、どうやって、これから2018年、2019年と検討していくのか、そして、この特区というすばらしい仕組みを使って、どうやって乗り越えるのか、それをぜひ、この場で皆さんのお知恵もお借りしながら検討できれば、非常にうれしく思います。

 

都市部の実験であり、無人地帯の目視外飛行とは異なり、第三者上空飛行、鉄道・道路上空の飛行を要するため、ハードルが高くなります。上記各発言で興味深いのは、特区+レギュラトリーサンドボックスの枠組みで、このハードルを乗り越えていこうとしている点です。

前の投稿でも述べたとおり、レギュラトリーサンドボックスは、航空法や電波法の要件を緩和する制度です。従って、第三者上空飛行、鉄道・道路上空の飛行を要するこの実験を行うためには、現在の審査要領の下では、航空法上の国土交通省の許可・承認が下りないものの、上記の特別の枠組みを用いことによって、これを可能にしていくという筋道が伺えるように思いました。

この点については、前に紹介した、「ドローンの目視外飛行と第三者飛行(2)」(2018年10月)にて整理していました。該当箇所を抜粋します。

(4) 国家戦略特別区域法に基づく目視外飛行のみなし承認(地域限定型サンドボックス制度)

審査要領に基づく承認要件の緩和とは別に、国家戦略特別区域において、実証実験を行うための目視外飛行の承認を容易にするための制度の導入が進められている。いわゆる「地域限定型規制のサンドボックス制度」であり、これを創設するための国家戦略特別区域法の改正案が現在提出されている[[1]]。この制度は、ドローンの実証に関して、作成された技術実証区域計画(サンドボックス実施計画)について、内閣総理大臣の認定を受けると、特区内において人口集中地区の上空の飛行、夜間飛行、目視外飛行等に関する航空法上のみなし許可・承認を受けることができるものである(同法案25条の5)。また、実証に必要な無線を確保するために、速やかに電波法上の無線局の免許を受けることもできる(同法案25条の6)

ドローンの飛行に関しては、2016年1月29日に、千葉市が特区の指定を受けており、2016年3月24日以降、千葉市ドローン宅配等分科会の下で、幕張新都心に近接する東京湾臨海部の物流倉庫から、海上や一級河川の上空を飛行し、新都心内の集積所まで荷物を運んだ上、住宅地内のマンション各戸への宅配を行うことを想定したドローンの飛行が検討されている[[2]]。

この場合に想定されている飛行を実現するためには、改正後の審査要領であっても、その基準からすると許可・承認要件を充足することが困難な場合もあると思われる。このような場合には、技術実証区域計画を作成のうえ、認定を受ければ、みなし許可・承認を取得することにより、実証実験が可能になると思われる。

[1]     2018年10月3日現在、衆議院で閉会中審査の状況である(http://www.shugiin.go.jp/internet/itdb_gian.nsf/html/gian/kaiji196.htm)(最終閲覧2018年10月11日)。

[2]    千葉市ドローン宅配等分科会のホームページ(https://www.kantei.go.jp/jp/singi/tiiki/kokusentoc/tokyoken/chibashi.html)(最終閲覧2018年10月11日))を参照。

 

上記のとおり、サンドボックスは、国家戦略特別区域法の改正で成立しますが、まだ審議中で成立していないようです。今後の実験内容と共に、規制の動向からも目が離せません。

 

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