建設工事公衆災害防止対策要綱が改正され、ドローンに関する規定が追記される

国土交通省により、建設工事公衆災害防止対策要綱が改正され、2019年9月2日に公布・施行されています(国土交通省告示496号)。

国土交通省のHPにプレスリリースが出ています。

要綱の全文と解説も、国土交通省のHPにて見ることができます。

この要綱の目的は以下の点にあるとされています

第1  目的

土木工事の施工に当たって、当該工事の関係者以外の第三者(以下「公衆」という。)の生命、身体及び財産に関する危害並びに迷惑(以下「公衆災害」という。)を防
止するために必要な計画、設計及び施工の基準を示し、もって土木工事の安全な施工の確保に寄与することを目的とする

今回の改正において、建設工事において、ドローンが活用されることを想定した以下の規定が追加されています(以下抜粋)。

第38 無人航空機による操作

1 発注者及び施工者は無人航空機(ドローン等)を使用する場合においては、第 36(建設機械の使用及び移動)の規定のほか、次の各号に掲げる措置を講じなければならない。
一 原則として、飛行する空域の土地所有者からあらかじめ許可を得ること。
二 航空法第 132 条で定める飛行の禁止空域を飛行する場合は、あらかじめ国土交通大臣の許可を得ること。
三 航空法第 132 条の2で定める飛行の方法を守ること。ただし、周囲の状況等によりやむを得ず、これらの方法によらずに飛行させようとする場合には、安全面の措置を講じた上で、あらかじめ国土交通大臣の承認を受けること。
四 飛行前には、安全に飛行できる気象状態であること、機体に故障等が無いこと、電源や燃料が十分であることを確認しなければならない。

上記の規定の内容・背景に関して、以下のような注釈が加えられています(以下抜粋)。

近年、短時間で高密度な3次元データを取得できることから、UAV (無人航空機 以下通称のドローンと呼称)を用いた写真もしくはレーザー測量を建設工事で活用する事例が増えてきている。それを基にした3次元設計データを取り込むことで、操作ガイドや機械制御を自動化し、効率的な施工を可能とする建設機械の活用についても同様である。建設生産の設計、施工、検査プロセスに、一貫して3次元データを導入・活用すれば、手間と手戻りが減じ、大きく生産性が向上すると期待されている。

建物調査でも、外壁調査や劣化調査時に外部足場が不要なことからドローン使用が行われている

このような新しい建設生産形態を、国土交通省ではi-Constructionと呼称し、総合的に施策を展開し、後押している。たとえば、「UAVを用いた公共測量マニュアル(案)」(平成28年3月)をはじめ、工事での活用を目指した各種の実務要領を公表している。i-Construction では3次元データの取得が前提となるため、特に、その入り口部分にあたるドローンによる測量は、今後より普及すると考えられるが、重量のある機体が飛行することから、平成 29 年 11 月にはイベント会場でお菓子をまいていたドローンが墜落し複数の負傷者が発生するなど、その使用については細心の注意が必要で、航空法の規制もかかる。また、第三者の所有する土地の上空で無人航空機を飛行させる場合、所有権の侵害とされる可能性があるため、原則として所有者の許可を得ることとしている。航空法では 200g以上のドローンについて、飛行する空域、飛行の方法が規制されている。

以下の空域の飛行には国土交通大臣の許可が必要となる。

① 空港等の周辺の上空の空域
② 地表又は水面から 150m以上の高さの空域
③ 人口集中地区の上空

飛行の方法は以下のとおりで、これらの方法によらずに飛行させようとする場合には国土交通大臣の承認が必要となる。

① 日中に飛行させること
② 目視(直接肉眼による)範囲内で無人航空機とその周辺を常時監視して飛行させること
③ 第三者又は第三者の物件との間に 30m以上の距離を保って飛行させること
④ 多人数の人が集まる催し場所の上空で飛行しないこと
⑤ 危険物の輸送をしないこと
⑥ 物件の投下をしないこと

また、航空法の改正により、令和元年 9 月 18 日に以下の 4 つの遵守事項が追加。

① アルコール又は薬物等の影響下で飛行させないこと
② 飛行前確認を行うこと
③ 航空機又は他の無人航空機との衝突を予防するよう飛行すること
④ 他人に迷惑を及ぼすような方法で飛行させないこと

飛行には常に墜落のリスクが付きまとうため、ドローンの使用にあたっては、発注者または施工者が飛行前に飛行時間中の天候条件、故障の有無等の機体の整備状況ほか、電源・燃料が飛行に十分であることを、飛行前に確認しなければならない。

(2019.9.23)

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