特定高度情報通信技術活用システム開発供給等促進法案が201回通常国会に提出

ハーウェイ等の中国製品の情報漏洩リスクの議論を背景に、サイバーセキュリティ・安全保障の観点から、国内事業者による、5Gやドローン技術等の開発供給等の促進を図ることを目的とした新法の法案が、2020年2月18日に、閣議決定され、内閣によって201回通常国会に提出されています。

同日、経産省がプレスリリースしており、同省のHPに法案が掲載されており、国会のHPで法案の提出がなされたことを確認できます。同日のReutersでも報じられています。

「特定高度情報通信技術活用システムの開発供給及び導入の促進に関する法律」という名称です。

法律の目的は、以下のように規定されています。

第一条 この法律は、情報通信技術の分野における技術革新の進展及び我が国を取り巻く国際経済環境の変化その他の経済社会情勢の変化に伴い、国民生活及び経済活動の基盤となる特定高度情報通信技術活用システムの開発供給等がサイバーセキュリティ(サイバーセキュリティ基本法(平成二十六年法律第百四号)第二条に規定するサイバーセキュリティをいう。以下この章及び第二十八条において同じ。)を確保しつつ適切に行われることが我が国における産業基盤を整備する上で重要であることに鑑み、特定高度情報通信技術活用システムの開発供給等の促進に関する指針の策定、特定高度情報通信技術活用システムの開発供給等に係る計画の認定制度の創設等の措置を講ずることにより、特定高度情報通信技術活用システムの普及を図り、もって国民生活の向上及び国民経済の健全な発展並びに我が国の安全保障に寄与することを目的とする。

特定高度情報通信技術活用システムの対象は第2条に規定されています。ドローンは第2号です。

第二条  この法律において「特定高度情報通信技術活用システム」とは、次に掲げるものをいう。

一 情報通信の業務を一体的に行うよう構成された無線設備及び交換設備その他の主務省令で定める設備並びにこれらに係るプログラムの集合体であって、政令で定める周波数の電波を使用することにより大量の情報を高速度で送受信することを可能とするものその他の高度な技術を活用した情報通信を実現するもの

二 国、地方公共団体若しくは重要社会基盤事業者(サイバーセキュリティ基本法第三条第一項に規定する重要社会基盤事業者をいう。次号において同じ。)の事業又はこれに類するものとして政令で定める事業に係る点検、測量その他の政令で定める業務を一体的に行うよう構成された小型無人機(高度な情報通信技術を活用することにより飛行中の位置、姿勢及び状態を高度に制御できることその他の政令で定める性能を有するものに限る。)及び当該小型無人機に係る当該業務に応じ使用する撮影機器その他の経済産業省令で定める機器並びにこれらに係るプログラムの集合体

三 国、地方公共団体若しくは重要社会基盤事業者の事業又はこれに類するものとして政令で定める事業に係る政令で定める業務を一体的に行うよう構成された主務省令で定める設備、機器及び装置並びにこれらに係るプログラムの集合体(高度な情報通信技術を活用するものに限る。)であって、その開発、提供及び維持管理並びに導入がサイバーセキュリティを確保しつつ適切に行われることが前二号に掲げるものに準じて必要なものとして政令で定めるもの

基本理念の柱は、サイバーセキュリティの確保、国際競争力の強化、新たな事業の創出及び事業の革新の促進とされています。

第三条 特定高度情報通信技術活用システムの開発供給等は、特定高度情報通信技術活用システムが我が国における国民生活及び経済活動の基盤となることに鑑み、サイバーセキュリティを確保しつつ適切に行われることを基本とし、我が国における特定高度情報通信技術活用システムの開発供給に関係する産業の国際競争力の強化並びに特定高度情報通信技術活用システムの活用による新たな事業の創出及び事業の革新の促進に資することを旨とし、国及び事業者が相互に密接な連携を図りつつ主体的かつ積極的に行うものとする。

事業者が、「特定高度情報通信技術活用システム」の開発供給計画や導入計画を提出し、主務大臣から認定を受けた場合には、政府系金融機関から低利の融資を受けることができたり、軽減税率の適用を受けることができる形になっています。

施行は公布後3ヶ月以内の予定とのこと。既に具体的な案件が想定されているのか興味深いところです。

(2019.2.25)

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