所有者不明土地法

所有者不明土地の利用の円滑化等に関する特別措置法が、平成30年6月13日に公布されています(田邊直輝氏「所有者不明土地の利用の円滑化等に関する特別措置法の概要」NBL1128号65頁)。施行はまだのようです。

高齢化・都市部への人口集中によって、所有者不明土地が増加しており、大きな社会問題になっていることはよく知られているところです。

広い敷地を前提とするプロジェクトを実施する際、事業者が、遊休地の所有者にアクセスできず、土地の利用権の確保が困難なことがよくあります。ゴルフ場の買収案件、太陽光施設の建設案件においては、プロジェクトの敷地(遊休地)の所有者から、土地の譲渡や地上権の設定について承諾を得る必要があるのですが、ほんの一部の土地の所有者の所在が不明である、相続が発生し、相続人の所在が不明であるといった事情で、プロジェクトが進まないことがよくあります。所有権の絶対性とはいうものの、有益な経済活動をしている企業のイノベーションを阻害していると感じていました。

この法律は、所有者不明土地に関して、一定の手続を前提に、地域福利増進事業のための使用権の設定等を行うことを定めており、所有権の相対化を進めるもので、なかなか画期的です。上記のようなケースにおいて、活用の余地がありそうです。

ドローンに関しても、国土交通省の許可を得ても、他人の土地の上空を飛行する場合には、事前に土地所有者の許可が必要なのが原則であることから、現在は飛行や事業展開が制限されています。所有者不明土地が広がっていると、事業展開が難しくなります。この法律を活用し、ドローンハイウェイなどを建設することができれば、物流等へのドローンの事業活用が進むと思います。

法規制の観点からは、現在国交省が進めている目視外飛行の制度緩和と、この遊休地の有効利用(土地所有権の相対化)が、ドローンによるイノベーションが実現するための鍵になると思います。

このあたりについて検討・整理を進めていこうと思っています。

 

※2018年11月9日補足

施行期日を定める政令が2018年11月9日付で公布され、2018年11月15日に施行されることになりました。

 

 

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